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令和2年度で東京都の保育士借り上げ社宅制度終了!?
2020/08/30
保育の参考書のサイト内でも最も閲覧数が多い「保育士借り上げ社宅制度」についての記事。
当初は今年最初に5年間の時限措置を迎える世田谷区の借り上げ社宅制度の存続か終了かの対応次第で今後の各自治体の方針が決まるとお話をしました。
しかし、このコロナ騒動により国と東京都の財政の問題により「保育士借り上げ社宅制度自体が終了」の可能性が出てきました。
なぜ借り上げ社宅制度が終了となったのか。その背景と現時点で分かっている各自治体の対応について解説していきます。
借り上げ社宅に関する基本的な記事はこちらから
※令和2年8月15日現在のデータです。
◆ 東京都の保育士借り上げ社宅制度終了になったその背景とは
・新型コロナウィルスへの対応に多額の予算を使ったことで東京都は大幅に財源を消費してしまいました。もともと収入が多い分、今回のコロナによる感染症対策ならびに経済対策(休業補償などを含む)の金額も全国で最も高い金額になりました。
これは2020年度(令和2年度)の東京都の財政調整基金(ようするに東京都の貯金額)の予想推移です。このグラフで示すように今まで積み重ねていた東京都の予算が一気に今回放出することになりました。ここで注目しなければいけないのが、今回のコロナの影響で次年度以降、東京都に入ってくる税収なども減額する見込みであるということ。つまり貯金だけでなく入ってくるお金も減ってしまったということです。
その為、東京都はこの状況を含めて予算を大幅に組みなおすことになり、保育士の借り上げ社宅に関する予算も当然検討対象になってしまっているということです。
◆ 借り上げ社宅の継続か終了かの協議が進んでいない
・令和2年8月15日現在、東京都からの回答は「現在全くの未定です」とのこと。これは予算編成が決まらないと正確なことが言えないということもありますが、今は新型コロナ対策を含む様々な分野で人手や時間が費やされていることで、保育士の借り上げ社宅についての協議が全く進んでいないということも影響しています。ちなみにこれは東京都の福祉保健局や東京都内の各自治体に直接問い合わせても「まだ決まっていません」という回答が返ってくる状況です。
◆ 各自治体は借り上げ社宅制度についてどのような対応を検討しているのか
・以下の表は東京23区内の自治体による対応の一部抜粋です。(今回は解説に使用する自治体のみをピックアップ)
ここで注目するポイントが「東京都が借り上げ社宅制度を終了した場合の対応」です。
1、板橋区、新宿区、品川区などは東京都が借り上げ社宅制度が終了した場合は未定となっています。この未定というのはまだ協議すら実施していないということ。保育士のことを軽視しているわけではなく東京都の決定がされ次第協議に入るということになります。この未定という自治体は最も多く14の自治体が東京都の判断を待っている状況です。
2、江戸川区や世田谷区などは東京都が借り上げ社宅制度を終了した場合は「東京都に合わせる方向」になっています。これはとても分かりやすく東京都が終了ならば終了。継続ならば継続という方針で現在3つの自治体がこの方針です。
3、大田区と千代田区は東京都が借り上げ社宅制度を終了した場合は、区が独自に予算を組んで何らかの形で継続を考えているとのこと。ただし今までのように上限額を全て負担するというわけではなく、法人との割合を引き上げたり、上限額を下げるなどの対応を含めての検討になる可能性が高いとのこと。
4、ここには掲載しませんが、2つの自治体が明確に『東京都が借り上げ社宅を終了したらうちは絶対に独自制度などはせずに終了します』と宣言しています。
この明確に継続しない自治体などを含めて気になる自治体等がありましたら、個別で筆者まで直接お問合せください。
(DMでもSNS経由でも構いません。)
◆ 注目だった世田谷区は継続方針が判明
・最初に時限措置を迎える世田谷区は「継続」という方針が今回の解説で判明しました。ということは国と東京都が継続ということであれば、各自治体はしばらくはこの保育士借り上げ社宅制度は継続の方向で考える自治体が多いのではないかということでもあります。
◆ 保育士さんからの相談件数が増えています(紹介会社とのトラブルを含む)
・実は今回、この記事を「教えて保育の参考書」に記載をしたのは、筆者:こばやしだいすけに対して「借り上げ社宅に関する相談」がとても増えているということ。個人のTwitterと以下のブログで今回の借り上げ社宅制度について発信したことが影響しているようです。
● 現在借り上げ社宅を利用している場合、制度が終了したらどうなってしまうのか。
● 急に終了と言われても困るのですが、一体いつになったらわかるのか。
●保育士求人会社や紹介会社経由で相談&既に内定をもらったのですが、社宅利用を希望していたのに、求人会社のコンサルタントからはこんなこと教えてもらわなかった。
特に一番下については、私自身もあまりの問い合わせの多さにビックリしました。確かに保育士側が自分でこの件を質問する必要はありますが・・・でも聞かれなかったら答えないというのは不親切すぎます。
もし知っていて教えないなら・・・「売上重視の悪徳会社」
この状況を把握していないなら・・・「素人による適当な仕事」
もし来年4月以降に借り上げ社宅を使っての就職・転職を考えている人は、まだ今後の状況が確定していないのですから急いで決めるのはあまり得策ではないでしょう。
でも・・・「早くしないと求人が決まってしまいますよ」と言われたのであれば要注意。だって来年4月以降に就業する場合。4月~7月に出ている求人は採用枠がもともと多い求人なので、急がなくても求人は秋以降に残っていることがほとんどです。
※詳細はhttps://www.apple-ginger.work/entry/shatakuseido2 を参考にしてください。
◆保育士借り上げ社宅制度終了の可能性についてのまとめ
・多くの保育士、保育事業者が早く結論を出して欲しいと思っているかもしれませんが、今の段階でわかっていることはこれが全てです。そして実際に上述のように保育士求人会社や紹介会社の対応で困惑している保育士も少なくありません。引き続き、筆者の保育士ネットワークをもとに各自治体の園長会や親しい保育課の職員などから情報は収集していきたいと思っています。
もし今回の記事で気になることがあれば、お気軽にメッセージをいただければと思います。
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