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新型コロナによる病児保育の対応と状況
2020/08/16
新型コロナウィルスの流行により、多くの地域で保育園が登園自粛、原則休園などになりました。
そんな中、病児保育についてはコロナウィルスの流行時にも子どもを預かってもらえるのか。また新型コロナウィルスによる感染の場合に病児保育は預かってもらえるのか。
今回、保育の参考書ではこの新型コロナ禍による病児保育の状況について保育解説していきます。
◆ 病児保育とはどのような施設なのか
・病児保育は、子どもが発熱などの病気やケガをしてしまい保育園に預けることが出来ない緊急時に、本来家庭保育をしなければいけない保護者にがどうしても仕事を休めない場合に、保護者に代わって子どもを預かるサービスのことです。病気の子どもを一時的に預かり保育をする形なので、イメージは保育園の一時保育に似ています。子どもが登園をして預かってもらう施設型の場合は施設ごとに預かりの上限人数に限りがあり、原則として予約が必要で、医師の意見書が必要な病児保育も多くあります。
◆ 病児保育と病後児保育の違い
◎病児保育
・まさに今、病気やケガの治療中であり「回復期」ではない状態の子どもが対象
・医療機関への入院の必要がなく、当面の症状が急変しないという状態
(例:38度以上の発熱である。突発性の発疹や流行性の結膜炎で目が赤い状態など)
◎病後児保育
・子供の病気やケガが「回復期」に入っている状態の子どもが対象
・感染症などの治癒証明は出ているものの、まだ本来の体調には戻っていないため、集団生活での保育に不安がある場合
・既に発熱や嘔吐は収まっているが、保育園の規定で前日に発熱や嘔吐の症状が出た場合には登園出来ないと決められている場合
※しかし、この病児保育と病後児保育の違いについては各自治体やサービスを利用する法人によって病児保育と病後児保育の違いが異なりますので必ず確認してください。
◆ 病児保育の種類について
・病児保育には大きく分けて2種類のタイプがあります。
◎訪問型病児保育
・病児の家庭に保育者が派遣される形で訪問し、在宅で子どもの対応をしてもらえる。
メリット
・病気の子どもを外に連れ出さないで見てもらえる。
・事前に登録をしておけば、保護者が送り迎えをしたり当日に手続きをしたりしないので負担が少ない。
・子どもにとっては慣れ親しんだ環境で安心して過ごせる。
◎施設登園型病児保育
・病院や保育園に併設する専用の病児保育スペースに一時保育のような形で対応をしてもらえる。
メリット
・医師や看護師と連携しているので症状が思わしくないなど異変があった時にはすぐ専門家が対応してくれる。
・自治体などから補助を受けている場合は金額が訪問型よりも安く利用できることが多い。
◆病児保育の主な3つの施設型タイプの比較と医師の意見書
・施設登園型については大きく3つのタイプに分かれているが、病児保育については主に医療施設併設型が多く、病後児保育については看護師が常駐している保育園に併設しているタイプが多い。東京23区内においてはこの傾向がとても強い。保育施設併設型や病児保育単独型では原則として医師の意見書の提出が必要とされている所がほとんど。医療施設併設型の場合は預かる際に医師が直接診断することで事前に医師の意見書が不要な場合もある。
◆ 新型コロナウィルス感染の場合、病児保育は預かってもらえるのか
・新型コロナウイルスは「指定感染症」(二類感染症相当)と検疫法第34条の感染症の種類に指定。その結果、新型コロナウイルスの患者を指定の病院へ「隔離」したり。感染のおそれのある者を指定の病院への入院や、宿泊施設内・船舶内での収容により「停留」することができる感染症と明確な対応が確立されました。
この結果、新型コロナに感染した病児は、「受け入れ出来ない」としている病児保育施設がほとんどになりました。これは上述の記載した新型コロナに感染している場合は「入院・隔離」の措置が基本であり、新型コロナに関しては病児保育ではなく専門病院での扱いになる為です。また家族内でも感染者がいた場合は、該当児が新型コロナに感染していなくても預かることは出来ないようにしているようです。
◆ 新型コロナウィルスによる病児保育の利用者が激減し経営大打撃
・新型コロナウィルスの影響による保育園が登園自粛や原則休園になったことで、保護者が会社を休みにしたり在宅勤務に切り替わる家庭が多くなりました。その結果、通常の保育園の登園数が減っているように病児保育の利用者も激減してしまったとのこと。当然のことですが病気の子どもを保護者が家庭でみるのはとても望ましいことなのですが、病児保育については以下の理由により経営面に大打撃を受けてしまい存続の危機に陥っている施設もあるようです。
1、新型コロナの影響を最も受けた東京ではもともと6割の病児保育施設が赤字経営 (全国病児保育協議会より)
2、補助金型の施設においては「利用者に応じて支給される加算型給付」の為、利用者が少なければ当初の見込みより補助金が少なくなる。
3、感染の疑いの場合でも預かることが出来ないので、通常ならば預かる病児であっても咳などの症状が出ている場合には受け入れに慎重にならなければいけなかった
この3点が病児保育施設の経営を大きく苦しめてしまったようです。病児保育は働く保護者にとっても必要不可欠な存在であり、現場で働く保育士にとっても病児保育があるから保護者に病児保育の利用を提案することで感染症を防いだり子どもの体調面のケアを間接的に出来ることにも繋がっているだけに、これからも続けてもらえるよう国や自治体のサポートをしっかりしてもらいたいと思います。
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