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保育士への慰労金要望書を現場は知らない⁉


#保育士に慰労金を #保育士に給付金を

このようなハッシュタグがTwitterで話題になり、その後は保育団体が厚生労働所に要望書を提出しました。

ところが、この保育士の慰労金についての要望書をSNSの拡散(TwitterのRT)で知ったという現場の保育士がとても多かったです。

ではどうして保育団体が厚生労働省に提出した要望書だったのに現場で働く保育士の多くがこの要望書を知らなかったのでしょうか。

 

 

◆保育業界の特徴的な「現場と運営の溝」

・今回提出された保育士の慰労金に対する要望書ですが、実際に保育士一人ひとりが署名をしたわけではありません。保育園を運営している経営陣や大学の教授陣。また社会福祉事業に関わる事業者が参加する「児童福祉施設の団体」が連名で提出されたものです。今回は既に介護業界がいち早く政府の二次補正予算案で慰労金の予算取りを承認されました。その為、保育団体も6月中旬を期限とする二次補正予算審議に間に合うよう急いで団体の意見を取りまとめ、迅速に厚生労働大臣宛に提出をした経緯でした。

しかし提出をされたのは6月1日ですが、多くの保育士が保育園側から未だに何も通達を受けていないという声が多く聞こえます。そうなんです。運営側は保育士たちの想いを代弁する形で国に直接要望書という形で意見を伝えたのですが、肝心の保育現場の保育士たちにはこのことを伝えていない保育園が多かったのです。もしかしたら園長先生くらいまでには通達があったかもしれませんが、、、それでも園長先生たちの間でもこの要望書のことをSNS上で知って驚いたという声も少なくありませんでした。

 

 

◆団体に含まれていない保育園が多くある!?

 

 

これが今回提出された要望書。今回は大変多くの児童福祉施設に関わる団体が名を連ねています。ところがここで気になることがあります。実は「全国保育協議会」「全国保育士会」という団体が入っていますが、これらの団体は「原則として株式会社系の保育園は除外」となっているのです。主に株式会社系の保育園が加盟している「日本こども育成協議会」「全国認可保育所東京都認証保育所協会」この2団体は除外されていたことになります。その為、園長クラスであっても株式会社系の保育園の保育士はこの情報が一切流れて来なかったということになります。

 

 

◆なぜ保育系の団体は複数に分かれているのか

・実は保育系の団体は多くあるように見えても大きく3つに分かれているというのが簡単な構図になっています。簡単に言えば

1、公立保育園

2、社会福祉法人運営の私立保育園 (学校法人を含む)

3、非社会福祉法人運営の私立保育園

 

となります。その中で保育系の団体で主流派なのが国とのパイプ的な役割を果たしている「保育三団体」と呼ばれる団体です。

1、社会福祉法人全国社会福祉協議会・全国保育協議会

2、社会福祉法人日本保育協会

3、社団法人全国私立保育園連盟

この3つです。実はこの3つは原則として社会福祉法人で形成されており、それぞれの団体が繋がっています。(役員名簿や相関図を見ればその関係性がわかります。)

公立保育園は運営が地方自治体で働く保育士も地方公務員扱いなので別枠なのが分かりますが、なぜ同じ私立保育園で株式会社とは別団体になるのか。

それはこの3つの保育団体は「非営利目的」という言葉が定款に書かれている為、株式会社は営利目的扱いの為、団体に加盟できないとなっております。

その為「日本保育士協会」などの”働く保育士の団体”なのに加盟条件は「社会福祉法人で働く保育士資格所有者のみ」となっております。

これは昭和23年以降続いてきた保育園制度の中で、社会福祉法人が私立保育園の役割をほぼ独占的に担ってきたことで、社会福祉法人が築き上げてきた様々な制度があるというのも一つの理由です。

その結果、現段階では社会福祉法人と株式会社では大きな壁があると言われています。

 

◆社会福祉法人が運営する保育園のメリットとは

・上述の団体構成により、社会福祉法人が運営する保育園で働くメリットとしてここで2つ挙げておきます。

 

1、社会福祉施設職員等退職手当共済制度

→保育園だけでなく社会福祉法人が運営する児童養護施設などの職員も加入可能で、原則として保育士は掛け金0円で法人側が全額負担しています。掛け金や支給額はそれぞての給料によって異なりますが、支給額は一般保育士で年数×10万円(11年目からこの割合が大きく跳ね上がる)退職金が受け取れます。一般的に退職金は自分で毎月掛け金を支払いそれを企業が運用して増やすものですが、社会福祉法人は掛け金0円で退職金を受け取れる。この仕組みは厚生労働省からの支援を受けている社会福祉法人だけの特権の一つです。

 

2、日本保育協会への加盟と個人保険への加入対象(年間2000円の自己負担)

→これも”社会福祉法人が運営する保育園の保育士”しか加入できません。ここに加盟すると保育士は自分の名義で個人賠償責任保険に加盟出来ます。原則として保育園は団体として保険に加盟していますが、保育中の事故に対する個人賠償責任保険というのは「どの保険会社に確認してもほとんどありません」これは保育団体が独自に保険会社と契約して確立した保険制度です。またこの団体に入ると保育関連の情報が毎月配布されたり独自に開催されている研修などを受けることが可能です。

 

他にも色々あるのですが、このような制度を独自に確立していたことも団体が分れている理由の1つとされています。

※といってもこれはあくまでも「保育団体が分れている理由の一つ」であり、決して社会福祉法人運営の保育園の方が優れているというわけではありません。

 

 

◆ 保育士への慰労金要望書についてのまとめ

・6月1日に提出された保育士の慰労金要望書ですが、現時点でこれが予算案として通るかどうかは別問題です。またこの慰労金要望書が認められて二次補正予算案が通った時にはおそらく株式会社系の保育園も支給対象になると思われますが、それが認可外保育園にまで支給されるかというとそこは何とも言えません。ただ今回要望書は提出したものの既に多くの予算がこのコロナ騒動で費やされているので状況は非常に難しいと思われます。

 

ただこの団体に加盟している保育園は保育業界でも93%以上と言われていますので単純に今、働いている保育士の93%以上の意見という見方でもあり、また皆さんが所有している保育士資格を管轄している「全国保育士養成協議会」ともこれらの団体とは関係が深いということもあります。その為、今回提出された要望書については世間では「保育士の意見」という見方もされております。自分が署名したものではないかもしれませんが保育士としてこの要望書の内容については把握しておきことも必要かもしれません。

 

 
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