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保育園が休園になると保育園と保育士はどうなる!?

2020/06/07


*5月27日追記(最下部にて)

 

新型コロナウィルス拡大に伴う保育園・学童問題についてのシリーズ続編です。

今回は保育園が休園した場合に保育園とそこで働く保育士はどうなるのかを最新の情報とあわせて緊急解説。

特別解説として編集長の友人でもある現役男性保育士ライターの”こばやしだいすけ”さんにお願いしました。

当ページでは借り上げ社宅制度に続いての登場です。

 

◆緊急事態宣言に伴い「原則休園」と「登園自粛」の言葉

・まず以下の図をご覧ください。こちらは”HUFFPOST”が発表した4月9日の時点で緊急事態宣言が出された東京都において23区内で発表された「認可保育園」の開園状況です。

 

 

今まで安倍首相ならびに厚生労働省は小中学校・高校・大学には休校措置をとりましたが、保育園ならびに学童施設については休園措置を取りませんでした。

 

しかし、緊急事態宣言の発令により「新型コロナウィルスの終息」を最優先にすることを目的にしたことで東京23区も各自治体は独自に自治体がそれぞれ管理をする認可保育園において対応を明確にしました。

 

ここで気になるのは原則休園自粛要請の2種類があることです。

 

◎自粛要請

・保育園については引き続き開園。ただし各自治体は保育園ならびに学童施設に預けている全家庭に対して書面や一斉メールで「家庭保育の協力願い」をお願いすることで登園する子どもの数を減らして対応をします。あくまでも自粛要請なので判断は保護者に委ねられることになります。ちなみに自粛要請については既に3月の時点で各自治体や保育園は保護者に直接家庭保育のお願いをしています。

※緊急事態宣言が発令される以前は、小・中学校が休校になることで保育園で働く保育士たちの中でも勤務することが出来ない職員が発生することで受け入れ体制が手薄になることを目的としてお願いしていました。

 

◎原則休園

・区内の認可保育園に対して休園を決定することで感染拡大を最優先に対応することです。しかし原則休園については自治体によって対応に差があります。

 

 

<文京区>

文京区内の保育園は原則「臨時休園」とし、どうしても保育を必要とするご家庭については、業種等を限らず各園で「緊急特別保育」を実施。

 

<豊島区>

豊島区内の認可保育所・地域型保育事業・待機児童対策施設・認証保育所を利用中であって、世帯全員が下記①②いずれかの要件に該当する場合 

①警察官、消防官、医療従事者

②その他社会機能維持に必要な職種の方

 

<杉並区>

杉並区の保育施設については原則臨時休園。ただし、医療関係や警察・消防等の公務員のほか、食料品店・金融など社会の機能を維持するためなどの理由で勤務を余儀なくされており、ご家庭での保育が特に困難な方については、保育を実施。詳細は、各保育施設から保護者へお渡しした以下の文書をご覧ください。

 

<渋谷区>

世帯全員が警察官、消防官及び医療従事者の家庭に限り、特別保育事業を実施します。
※世帯全員が警察官、消防官及び医療従事者以外で、ご家庭での保育が特に困難な方は応相談。

特別保育を実施する保育園を6つの保育園に限定して対応。

 

保育時間については原則延長保育はなしですが、13時間開園にしたり、17時閉園にしたり。渋谷区のように開園する保育園を絞ったりなど様々ですが・・・

基本的には休園対応を決断した自治体では保育園を利用する際に、所定の用紙を届け出することで利用を制限しているようです。

 

 

 

◆休園になったら働く保育士はどうなるのか!?

・保育園によって対応は様々ですが、4月9日の時点で休園対応となる【認可保育園】では…

 

1、有給休暇ではなく在宅ワークという形で自宅待機をさせる。当然その間の給料は通常発生。

2、所有する有給休暇の半分(1年目に付与される日数の半分)までは有給を使って休暇対応。それ以外は1と同様の対応

 

この2つが現時点で多いようです。その背景には「自治体の要請で休園せざるを得なくなったから」です。

「緊急特別保育」という形で医療福祉従事者や小売店の家庭は預かる方針の為、少数の子どもをローテーションで回したりもしています。

今回の休暇対応になった保育士は自分の意志ではありません。また『認可保育園』は原則として子どもが退園ではなく休園扱いの場合は通常通り運営管理が通常通り支給されます。今回も現時点では保育園が休園になったとしてもその間の運営管理費は自治体から支給されるので経営面における保育園側の影響は極めて少ない為、休暇を取得している保育士に給料を支給することに負担はあまりないのです。

(※ただし・・・公定価格と呼ばれる運営費の基本部分はかわりませんが、延長保育料などの”実績加算分”などは減額になり、マスクや消毒液の調達費なども発生する為、実際の運営費は減額になっています。)

 

ちなみに休園対応ではない自粛要請の保育園でも保護者に登園の自粛を要請しているのですから、働く保育士にも同様に登園自粛を促す為いち早く在宅ワーク扱いで事実上の休暇を取得するように配慮している保育園も少なくないです。

(※小学校等休業助成金(小学校等休業支援金)については下記で説明。)

 

 

◆認可保育園以外とパート保育士はどうなる!?

・上述では『認可保育園』と繰り返し記述しましたが、では認可保育園以外とパート保育士はどうなるのか。

 

パート保育士

原則『無報酬での休暇』になります。これは保育業界に限らず一般業界の同じで、その辺りを含めてパート勤務であり社員は祝日や年末年始は休みで喜んでいても、パート保育士は無報酬であることと同じです。

(※パート保育士にも給料を発生させたり、特別手当を支給している保育園も都内にはあります。)

 

認可保育園以外

自治体が保育園を休園することによる何らかの運営面の補償をしてくれるかどうかによって内容は大きく異なります。

例えば休園対象に含まれていなければ当然補償はありませんが、もし休園対象に含まれていて自治体の決定による強制休園であれば、自治体とその間の運営管理費は応相談になってきます。

しかし「休業補償」的な運営管理の補助が発生しないのであれば当然通常と同じ給与支払いをしていれば「運営危機」に繋がる可能性があります。

この場合、一般企業の方々と同じで休園した場合の補償はなかったり、ボーナス等に影響等は出てきてしまいます。

 

もしこのような状況になってしまっていた場合、経営者側は苦渋の決断で保育園を開園する決断をするかもしれません。もし十分な補償がなければ保育園は倒産します。倒産すれば当然保育士は失業。コロナ騒動が収まってもそこに在園していた子どもたちは戻る場所がなくなってしまいます。今、日本は国を挙げてのコロナ終息に向けての緊急事態ですが、経営者として働く職員の生活と子どもたちの居場所を確保することも重要な役割ですので、仮に開園という選択をしても責めるようなことはご遠慮してください。

 

東京都認証保育所の例(地域認定保育室)

東京都認証保育所などは「運営費の多くを保護者からの直接の保育料」で賄っています。その為、休園の場合は保護者から毎月の保育料は入りません。自治体からの追加補償がなければ単純に月額で150万円以上の収入減になることもあります。

(※1、保育料月額50,000円。定員30名の場合で算出)

(※2、認可園の場合は国からの補助金が支給。認証園の場合は都からの補助金支給+保護者から直接支払われる月額利用料で運営されている)

 

 

◆小学校等休業助成金(小学校等休業支援金)

 

http://hoiku-youchien.com/2020/04/13/hikken-hogosha/

★ こちらのページをご参照ください ★

 

 

◆やはり発生していたコロナ恐怖による保育士退職問題

・実は3月の休校騒動のあたりから保育園が休園対象に含まれていなかったことで、Twitter上では保育士の意見が真っ二つに分かれました。その中で見られていた発言が・・・

『医療従事者ほどではないかもしれないが、なぜ保育士が感染リスクを背負って働かなければいけないのか。』

『保育士だってコロナに感染するのは怖い』

『今までだって給料面を含めて不満はあったが、これで更にコロナリスクを背負うのは耐えられない』

 

このような書き込みが見られるようになり『コロナが落ち着いたら退職する』という保育士もおりました。

その結果『コロナウィルス感染が怖いことを理由に保育士一斉退職』その結果保育士の確保が出来ず4月より保育園が閉鎖に追い込まれてしまったというニュースも入ってきました。

 

一見『無責任』と思うかもしれませんが、、、実際に死者が出ている以上誰だって感染はしたくありませんし、その点の補償もありません。

また今回は一連の騒動で残念ながら『医療現場に対する感謝の言葉』は聞かれても国や厚労省から『保育士を労う言葉が全くなかった』もし会見時や自粛要請の時に一言でも保育士を労う言葉があれば状況は変わっていたかも知れません。

 

これは私の個人ブログでも書きましたが。。。保育園では感染予防の為、今まで以上に消毒と手洗いの徹底を行っており、私もそうなのですが多くの保育士さんの手がかなり荒れており日々の努力がハッキリと現れています。その状況でもこの仕事に誇りやプライド等を持って働いている保育士たちもいるんだということを一般の方が少しでも多く理解していただけると大変嬉しいです。

 

※当然私たち保育士も医療従事者等のリスク承知で働かなければいけない職種の方には感謝をしていますし、レジャー産業や飲食店などで経済的大打撃を受けられている方の大変さも理解させていただいています。

 

 

 

 

◆あっぷるジンジャーのブログでもイラスト形式で解説

・今回の記事についてはコロナウィルス拡大による緊急事態宣言発令により、保育園も原則休園や登園自粛の動きが東京23区内で迅速に対応したことで内容が個人ブログとも大きく重複してしまいました。保育士ユニットあっぷるジンジャーの保育解説ブログでもイラスト形式で解説をしておりますので、よかったらこちらもご参考ください。

 

 

 

 

◆保育園休園による保育園と保育士がどうなるか・・・まとめ

・国の緊急事態宣言が5月6日まで発令とのことで、保育業界においても一つの目安が5月6日となっておりますが、当然この期間が延びることも想定されます。

このような事態は保育業界でも異例なことでこれから厚労省ならびに各自治体も色々と状況に応じて対応が変わってくるかと思います。

当然予算面も大きく圧迫しており、コロナ終息後には保育業界もどこかで予算削減等も当然考えれますので今後ともコロナ関連に関する保育業界についての動きや報道はしっかりチェックしておいてください。

また上述で解説した保育士の有償休暇についても4月9日の時点で目立っていた動きなだけで、法人の経営状況によっては対応が変わってくることもあります。

他の業界も苦しい状況が続いておりますが、ここはみんなが一丸となって乗り切れるように頑張っていきましょう!

 

追記:5月27日

緊急事態宣言の解除によりいち早く新型コロナの感染リスクがない地域から小学校等が再開され、東京23区でも各自治体が保育園再開に動いています。今のところ多くの自治体が「登園自粛のお願い」を継続する形で6月1日以降の対応を考えているとのこと。この結果として小学校等の休校助成金は6月も継続して利用が可能の見込みです。ただこれは自治体から「自粛要請が出ていること」が条件ですので各自治体の情報はチェックしておいてください。

 

 

 

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