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保育料無償化…給食費は対象外⁉
保育料無償化に関する記事その②です。
令和元年10月1日より保育料無償化が正式に実施されることになりました。
9月に入り、各自治体もようやく詳細が続々発表となりましたが…その中で保護者目線で最も注目されているのが『給食費』です。
前回の保育料無償化に関する記事の補足として今回は給食費を含む『保育料無償化の対象外』について解説します。
◆保育料無償化が正式に決定
・令和元年10月1日より保育料無償化を実施していくことが閣議決定されたました。2019年4月10日には幼児教育・保育を無償化する「子ども・子育て支援法改正案」が衆議院で成立、5月10日には参議院本会議でも「子ども・子育て支援法改正案」が可決されたことで保育料無償化が正式に決まりました。
その件についてはこちらの記事で基本解説を行いました。
9月に入り各自治体のHPでも詳細を続々と公表されると共に保育園でも自治体からの説明会が行われたり、書面にて通達が行われました。
◆保育料無償化による対象外となっているもの
・保育料無償化は補助の上限金額が設定されており、保育料全てが無料になる訳ではありません。
またその対象になるのは原則として以下の区分についても前回解説をしました。
【保育所に通う0~2歳の住民税非課税世帯の子ども】
【保育所や幼稚園に通う3~5歳の全ての子ども】
そしてこの2点の中で対象外になるのが以下の項目です。
☆入園料
☆教材費(絵の具、クレヨン、ピアニカ、ワークなど個人所有になるもの)
☆制服代
☆スクールバス
☆延長保育料 など
一般的に認可保育園などでは行われていないかもしれませんが。。。
幼稚園や認証保育所などの地域認定保育所において独自プログラムを設けている所などでは上記5点については導入されている所も少なくありません。
またここで重要になるのが『延長保育料』と『給食費』です。
延長保育料に関しては、各保育園が独自に金額設定を行っているところも多いと思いますが、、、厳密には延長保育事業は各保育園が自治体の要綱に基づいて行われている『独自事業』に含まれるため保育料無償化の対象外になります。意外とこの延長保育について『当たり前』と考えられてしまっていることが多いんですよね。これは東京23区において新規開園をする時の条件に延長保育を実施することを条件とするという事前約束がある為、2015年以降に開園された新しい保育園では延長保育が実質義務付けられている所が多いのです。
◆給食費は原則として保育料無償化の対象外
・3~5歳における幼稚園・保育園とも、実費払い。
・0~2歳で保育園に通い無償化対象(非課税世帯)となる児童は無料。
まずは、これが基本的な考え方とご理解ください。
今までは保育料の中に給食費が含まれていましたが、10月1日の保育料無償化の実施に伴い給食費は別途徴収する形になりました。
これは千葉県市川市の公表資料です。
この見解は多くの自治体で取り入れられており、東京23区内に関しては同様に4500円を給食費として毎月徴収する形で保護者に通達している場所が多いようです。
その為、保育料無償化が実施される10月1日からは保育料と給食費はわけて考えるのが基本的な考え方になりました。
※この考え方については国提示であり、実際の決定については各自治体、各保育園に必ず確認してください。
◆どうして給食費は保育料無償化の対象外になったのか?
・幼稚園や保育園では、給食費の徴収方法に違いがある為です。
このため、保育料無償化が始まると、保育園と幼稚園との間で給食費の負担の差が生じてしまい、不平等であるという声があがったのが一番の理由です。
そこで「主食費・副食費とも保護者の実費負担」という決定になりました。
(保育園は世帯によっては全部あるいは副食分が無料になる一方、 幼稚園では全額の実費徴収になってしまう)
◆保育団体は断固反対も受け入れられなかった理由とは・・・
☆ここからは久々に『教えて保育の参考書独自の切り口』で解説します。(ここからは雅が解説します。)
・実は処遇改善費などでも大きな影響力を持ち実際に交渉の窓口に当たっていた『全国保育協議会』『全国保育団体連絡会』などは「食への取り組みは教育・保育の大切な役割だ」「子どもが長時間過ごす保育園で、給食は必要不可欠なもの。給食費は保育料に組み込んで公費負担にするべきだ」と主張していました。実は処遇改善費などは【保育三団体】と言われる組織と当時の自民党の総裁であった谷垣禎一氏との間で話が進められたもので、今回も同様に自民党と保育団体が協議を重ねていたと思われます。(この表現でお願いしますね。)
でも、、、保育料無償化の前に、安倍晋三内閣総理大臣はずっつ【幼児教育の無償化】を言い続けていたことを皆さん憶えていませんか??
実は保育料無償化のキーワードが注目されがちですが本来は【幼児教育無償化】という表現が政府内では使われており、多くの保育料無償化の解説では「幼児教育無償化に伴う給食費」と言ったキーワードで表記されていることが多いです。
つまり・・・本来は幼児教育側への配慮が先に検討をされていて、結果として保育園も巻き込む形になり、その結果として幼稚園側に不利になるような配慮は絶対に出来なかった・・・
それと、、、保育料は無償化なのだから給食費は払わないという保護者が出てきて面倒な仕事が増えるという考え方も当然ありますよね??
(給食費を払わない保護者というニュース・・・結構話題になったのを憶えていますか。)
というのはあくまでも教えて保育の参考書独自の切り口での解説と捉えておいてくださいね☆
◆この記事のまとめ
・久々に教えて保育の参考書独自の切り口も復活した保育料無償化による解説第2弾でした。
ただ繰り返しになりますが、この制度に関しては必ず対象となる自治体とその保育園・幼稚園に必ず確認をしてください。
国の方針は出ていても実際に行われている制度は自治体や保育園によって本当に異なっています。
また主食費と副食費の計算をすると実質給食費が実質2,500円になった。うちは0円。なかには保育料が実質値上がったという非常に稀なケースもあります。
こちらについては、皆様からの質問・問い合わせになどによっては改めて保育料無償化についての解説第3弾もあるかもしれません。
みなさまからのご連絡、心よりお待ちしております。