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保育士のボーナスについて②(年度末賞与等)

2020/06/03


保育の参考書リクエストシリーズ第1弾。保育士のボーナスについての後編です。

保育士のボーナスについて①(一般的な考え方) において基本的なボーナスについての考え方を解説しました。

後編では保育業界に特化したボーナスの考え方と、皆さんから質問のありました”年度末賞与”について解説していきます。

どうしても必要な基礎知識がありますので、前編同様にボーナスの基本的な考え方も解説しています。

今回のテーマはハッキリいって分かりやすい解説するのは正直難しいです。

その為、今回は特に要点が大きい見出しには青字をつけています。

※今回は”原則”という言葉が多く例外もありますので一般的な考え方として捉えてください。

 

 

◆保育士の給料は必ず年収で計算してください

・今回は最初に結論をお伝えしますが・・・処遇改善費等の補助金をボーナスとして計算するか。それとも月額手当として計算するかでボーナスの年間実績は全く異なります。

その為、保育士の給料計算は必ず年収で計算してください。また処遇改善費等の補助金は地域や子どもの定員数によって異なります。その為以下の計算式をもとに考えてください。

保育士の年収=【法人が支給する給料&ボーナス】【補助金(処遇改善費や地域による保育士改善加算)】

今回の説明で伝えたいことは【法人が支給する給料&ボーナス】が本来の賃金ベースであるということをご理解ください。

 

 

◆昨年実績と法人規定賞与の違い(年〇ヶ月はあてにならない??)

・ボーナスについては処遇改善費等の補助金により計算方法がとても複雑になり、法人によって昨年実績の金額も様々になりました。

保育士のボーナスについて①(一般的な考え方)で解説したように、法人によって表記がまちまちだからです。

また処遇改善費等については賞与ではなく月額手当として計算している保育園は当然賞与が少なくなります。

この点も含めて上述のように・・・

保育士の年収=【法人が支給する給料&ボーナス】+【補助金(処遇改善費や地域による保育士改善加算)】

 

 

◆どうして法人支給額と国の支給補助金額で分けて計算をする必要があるのか

・正直、結果として支給される額がわかればそれでいいという保育士も多いと思います。

では今回、どうしてわけて計算をするのかというと・・・

1、処遇改善費関する各補助金はいつまで支給されるかわからないということ。

2、これから説明をする年度末賞与の説明を解説するのに必要な知識だから。

 

1については保育士不足が改善されたり、国や自治体の予算縮小が決まった段階でこの予算は全て廃止されます。

その場合に自分の年収がいくらになるのか。またこの保育園に勤続していった場合に数年後には年収がいくらになるのかという見透しを立てることが出来なくなってしまう為です。

”将来”を考えた際に、数年後の生活設計。また転職をする際に補助金によっていくら収入が変わるのかなど、自分自身で理解しておくことは決してマイナスではないでしょう。

 

◆保育園では賞与(ボーナス)が必ず支給される!?

・答えはYESでありNOです。前回の保育の参考書にてボーナスは業績によって変動するもので必ずしも支給されるものではないと解説しましたが保育業界はかなり特殊です。

実は2000年の保育改革により株式会社も保育業界に参入が認められる前は主に私立保育園の運営は「社会福祉法人」が保育業界ほとんどでした。また認可外も少なくほとんどが認可保育園でした。

そもそも認可保育園というのは、自治体からの補助金で運営されている為、少子化等により大幅に定員が割れていなければ安定した収入が見込めます。

つまり一般企業と違って「業績が大幅に変動しない」ということ。

また社会福祉法人は既にその土地を所有しており一定の財も確保されている必要があり「利益追求」としての目的は原則禁止されているので運営自体も安定されているのが一般的です。

その為、運営側も保育士に対してあらかじめ決められた金額のボーナスを想定して年収を計算して人件費を算出している所がほとんどです。

その証拠に「保育園の就業規則」では給料、休日と共に賞与規定も記載しており、明確に支給日と支給額がいくらなのか記載されているのです。

 

 

 

◆就業規則に明記されている賞与(ボーナス)規定とは

・就業規則にボーナスについて日付ならびに金額まで明記されている一般企業はとても少ないです。この内容を一般企業のサラリーマンやOLが読むと「え!??」という驚く方も少なくありません。

では就業規則に明記されるとどうなるのか、、、それは「原則としてボーナスを規定通り支給しなければいけない」ということになります。

実はこれが社会福祉法人に運営する保育園の特徴で、税制優遇の関係で社会福祉法人はお金の使い方についてはとても厳しく審査されています。

(保育園同様に法人監査というものがあります。)

その為、給料ならびにボーナスなどは給与規定を設ける必要があり、この給与規定に書かれていないものは原則支給できないというルールがあるのです。

この規定がこの後に説明する「年度末賞与」に繋がっていきます。

 

 

◆株式会社運営の保育園や定員割れ地域は例外??

・株式会社運営の保育園ではボーナスに関しての考え方は一般企業と同じ考え方なので『年〇ヶ月以上支給』といった約束事項は書いていないことが多いです。その為、ボーナスについてはあくまでも”参考”です。

また社会福祉法人でも定員割れ地域では経営面が盤石とは言えなくなるため、支給日や算出方法は定めていますが金額を明記していない所もあるようです。

株式会社運営の保育園や定員割れ地域の保育園のボーナスについてはこの点を事前に理解しておいてください。

保育園の運営側に不備や問題がなくても、その点を事前に理解して入社しておくことと、理解せずに入社することでは働く保育士側の印象が全く変わってしまいます。

※この点で保育士側がボーナスに対して誤った見解で『ブラック保育園』と勘違いしてしまう例も近年は少なくありません。

 

 

 

◆新卒1年目、転職1年目の賞与は満額支給されない??

・95%の保育園が満額支給されません。これは残りの5%の保育園の方が良心的な対応を言えます。今回は社会福祉法人の給与規定をベースに解説します。

ボーナスに関しては”算定期間”というものがあり、この算定期間によって支給額が決定します。

 

1、この算定期間に1日以上の在籍or上4月1日付で入職していたら満額支給。

2、算定期間の日数を基準に支給額を決定。

3、全ての期間に在籍していなければ支給はなし。

 

一般的には『2』が多いです。この算定期間というのは法人によって様々ですが、私が見てきた中で多いボーナスの規定は以下の通りです。

支給日 算定期間 支給金額 支給割合
6月15日 12月1日~5月31日 1.5ヶ月

6ヶ月=100%  5ヶ月=80%  4か月=60% 

3か月= 50%  2か月=40%  1か月=20%

12月15日 6月1日~11月31日 2.5ヶ月
3月末 - - 補助金をもとに個々によって算出

 

この場合夏のボーナスの支給日が6月15日だった場合に4月入社組は2ヶ月間が算定期間なのでボーナスは40%の支給となります。

この考え方は一般企業とほぼ同じですが・・・一般企業の場合は0円または寸志という形の数万円程度という考え方が多いため、保育業界については初年度のボーナスは恵まれていると考えてよいでしょう。

転職組は以前の職場よりも高い収入を求めて他の園に就職する方も少なくありませんが、、、転職組のこの考えに基づきますので転職初年度はこのボーナスの計算によって下がってしまうことがあります。

しかし、これも契約上事前に確認しなければいけないことなので、運営側に問題は全くありません。

 

 

◆3月に年度末賞与が支給されるようになった背景

・さてようやく本題です。保育業界ではこの数年、年度末賞与または特別ボーナスというような形で支給される保育園が増えました。

これは法人側の持ち出しではなく『処遇改善費&保育士賃金改善の地域加算の残り』と考えてください。

なぜこの時期なのかというと、、、実は処遇改善費や地域加算の支給金額が正式決定するのは3月1日なのです。

保育士の処遇改善費は国の補助金から出されており、この金額は国家公務員の俸給表をベースにしており「その年の人事院勧告」というものが決まることで支給額も決定します。

また月初めの子どもの定員も影響する為、人事院勧告と子どもの状況が確定する日が3月1日。

多くの法人は3月の月初を待たず年明けに発表される人事院勧告の数字が出た段階でボーナスの計算を始めます。しかしどんなに早く始めても12月~1月の冬のボーナスには間に合いません。

そうなると支給はおのずと3月になってしまうのです。

 

 

◆年度末賞与の金額が職員によって違う!?

・出来るだけ一律に支給するように配慮している保育園も多いですが、補助金の割り振りは保育園側に任せられている為、保育園によって違いが生じるのは当然ですが、同一保育園の中でも支給額が違うこともあります。

これは既に支給されている補助金や処遇改善費Ⅱにおける規定により職員間で格差が生まれてしまっている調整をここで行う法人も多い為です。その為、正しく計算をしたいのであれば前述に述べた年収で算出するのが望ましいでしょう。

またよくある質問に『3月末で退職する職員は冷遇されているのでは??』ということがありますが。。。これは事実あります。

なぜならば補助金の使い道は法人に任せられており、国からの条件は・・・

『使用用途は職員の人件費(原則)』

『使わなかった分は返却』

『支払った補助金は必ず報告書とあわせて証明書を提出』

この3つだけ。12月~1月の冬の賞与で職員に差をつけることは就業規則上できませんが3月の年度末賞与では調整が出来ますのでこのような差をつけることは十分可能です。

 

 

◆全てがこの内容に当てはまるものではない

・今回、保育の参考書では保育士のボーナスについて前編・後編にわかれて解説しましたが・・・

この記事だけで全てを解説するのは難しく、また細かく言ってしまえば全てがこの内容に当てはまるものではありません。

実際にこの年度末賞与を含む処遇改善費や地域加算について正しく理解出来ている保育士は少ないでしょう。また正確な金額を知っているのも保育園内では一部のみです。

しかし、処遇改善費を含む保育士の人件費に当てる各種補助金については『支給時に職員に説明するのが義務』とされています。

その為、不明な点や気になることがあれば保育園側に聞いてみてもよいでしょう。

また年度末賞与とあわせて保育園側から説明文的な手紙が添えられている保育園が多いのはこの為です。

もし、個別で気になる方がおりましたらお気軽にお問合せください。個別に対応いたします。

 

 

◆この記事のまとめ

・今回は『処遇改善費』や『人事院勧告』『地域加算』といった専門用語が多くでてきましたが”教えて保育の参考書”では今後、保育用語集または検索システムを設置予定です。

また地域加算(保育士処遇改善施策)については近日中に掲載予定です。

◆東京都キャリアアップ補助金 (一律分割の場合は地域加算で最も高い水準に)

◆松戸手当 (月額45,000円~72,000円)

◆柏市保育士給与上乗せ手当 (月額40,000~43,000円)

◆足立区奨学金支援制度   (年間100,000円を上限に既に借りている奨学金の返済に充てることが可能)

・・・etc

 
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