教えて保育の参考書(毎週更新‼)

~現役保育士が保育士目線で“保育士向け”にまとめた最新情報。男性保育士、新人保育士必見~

保育業界のお役立ち情報 保育現場に出る時に大事な話

保育園の退職について


保育士さんの多くは、年度末を一つの区切りとして考えることから3月末で退職をする方が9割です。

しかし退職時に保育園側と揉めてしまうことも実際に起きています。

そこで今回は保育士目線ではなく保育園側の目線にたって保育園の退職について解説していきます。

【ブラック保育園】なんて言葉が最近はよく聞かれますが・・・皆さんもブラック保育士と言われないようにしてくださいね!

 

◆退職を伝えるのは3か月前っていうのはどうして??

・保育園の多くが就業規則に「退職を希望する場合は希望する時期の3か月前」と明記しています。

多くの一般企業は1か月前が一般的な中で、どうして保育園は退職の意向を早く伝えるように指示しているのでしょうか。それは子どもたちと働く保育士たちのことを考えて期限を設けているのです。しかしこの「3か月前」というのが大きな問題となってしまうことがあります。

そして筆者はこの3か月前という期限には賛成の立場です。その理由についても以下で解説します。

 

 

◆労働基準法では退職が認められるのは14日前

・意外と知られていないのは、労働基準法に定められている退職の意向期日が14日であるということ。日本の法律では就業規則よりも労働基準法の方が効力は強い為、保育園側で退職の意向が3か月前と定められていても、14日前であれば退職は出来ます。しかしこの就業規則をうまく保育園側の都合よく利用する保育園が多く退職時のトラブルになっていることがあります。

1、年度末に退職を決意したが、既に1月になってしまったので、退職願いを受け取ってもらえず翌年も働くことになった。

2、年度途中に体調面または精神的な負担を理由に退職の意向を伝えたが、あと3か月は何が何でも働きなさいと言われて体調を更に崩してしまった。

これはいずれも【ブラック保育園】と言われてしまう保育園です。

筆者は年度途中に転職を希望する保育士の相談を受けていますが、保育士が年度途中に退職するにはそれなりの理由が必ずあります。そしてそんな保育士が働いている保育園の多くが【1】と【2】を前面にアピールして保育士の退職をさせないような圧力をかけていることが多いのも気になるところです。

実際にこのようなブラック保育園については、いくら保育士不足で紹介料を他より多く払うからと言われても、筆者は保育士の求人を掲載したことはありません。

 

 

 

◆3か月前退職の意向に賛成の理由とは!?

・本来は職種によって退職意向を伝えるベストな時期に違いがあるということ自体がおかしいのですが、、、保育園というのは一般企業でいうところの中小企業です。そして”保育士配置”という最低人数の確保という特殊な職種です。本来ならば1人や2人の退職が出ても問題ないように職員体制を整えたいところですが・・・もしこれが「3人以上」一斉に退職の意向を伝えられてしまうと、保育園は経営が困難になります。今回は保育園側の目線で以下の理由を述べたいと思います。

 

1、保育園は補助金で成り立っている職種である為、少子化で子どもの定員割れや緊縮財政の地方自治体では、人件費に余裕がなく過剰に職員を確保しておくことが出来ない。

(地方では役職のみ正社員であとは新卒などの保育士は契約社員待遇である地域がとても多い。東京などの都市部では保育士不足で職員の充足が出来ない所も。)

 

2、保育士の退職は9割が3月末の為、年度途中での採用が難しく、すぐに退職者の代わりを採用することが容易ではない。

 

3、新年度から就職、転職を検討する保育士の一番動く時期が11月~1月なので、この時期を過ぎて退職を伝えられるとよい人材を採用したくてもなかなか出来ない。

 

もし、皆さんが保育園の経営者側の立場で考えた場合に、いきなり退職を伝えられた場合にすぐ代わりの保育士を見つけることが出来ますか??

もし見つからなければ、残ったメンバーで退職者の穴埋めをすることになるので保育士の負担が大きくなると同時に「子どもたちに手厚い保育」をしたくても現実的にはとても難しくなりますよね。急な体調の変化や明らかに保育園側に責任があるような精神的負担による場合はともかくとして、やはり新年度に向けて4月から転職を考えている場合は12月末までには保育園側に伝えられると「円満退職」という形に繋がるのではないでしょうか。

 

※しかし早い段階で退職の意向を伝えると、12月の賞与に影響が出る可能性がある。保育園に居づらくなるという相談や悩みを受けますが・・・実際にこのような「ブラック保育園」は確かにあります。そもそもこういう保育園が「ブラック保育園の定義」かもしれません。

それでも退職の意向は伝える必要がありますので、一般的には冬の賞与が支給され、行事がひと段落するクリスマス後あたりに伝えるのが一つの目安ではないでしょうか。

(ブラック保育園だった場合は、こちら側もそれが理由で退職をするのですから、年度途中の場合も含めて筆者に個別で相談してください。適切な対応方法をアドバイスいたします。)

 

 

 

◆3か月前は退職者にも子どもにも好都合の理由

・新人保育士はイメージが沸かないと思いますが、、、保育園では運動会後の10月末あたりから、退職者の意向を調査し11月~12月に園長面談が行われます。そこでは退職だけでなく来年の希望などを聞く保育園もあります。そして12月中には新年度のクラス配置の土台を考え、2月をメドに決定される新入園児の状況を見て最終的にクラス担任を確定させます。つまり退職者がギリギリになって出てしまうと、クラス担任の再調整が必要になり現場の保育士たちの準備が遅れてしまうのです。もし早い段階でクラス担任が決まればそれだけ新年度の準備が進められるので、子どもたちにも余裕をもった保育環境で新年度を迎えることが出来るのです。

 

そしてもう一つが「保育士の有給消化」です。保育園では有給の取得が難しいというのが昔から言われており、有給が全く消化できず退職することも少なくありません。

(東京などの都市部を中心に最近は有給消化率を上げる保育園が近年は増加傾向にあります。)

 

退職する保育士は新しい職場での研修等を理由に3月末に休暇を希望することも多いですが、それ以外にも「今まで頑張ったのだから残っている有給は出来るだけ消化したい」という気持ちが当然あります。しかし3月の保育園って卒園や進級の準備。児童票を含む年度末の書類まとめでかなり忙しい時期です。そこで有給をまとめて取られたら残っている職員はよい気持ちもしません。(正当な権利であるはずなのに、悪い印象での退職になってしまうのは避けたいですよね。)

 

しかし、これが12月末までに退職をすることを伝えた上で「1月以降、保育に支障がない程度に計画的に有給を消化」ということであれば休暇も取得しやすく周囲も好意的になるはずです。実はこれも保育園の雰囲気をよくするポイントで「残る職員が退職者の為に有給休暇を取らせてあげることが出来ると自分たちも退職する時には同じように有給休暇を取ることが出来る」というよい慣例が生まれるのです。

 

最もブラック保育園と呼ばれる保育園ではこのようなことが出来ないから無理やり休みを取ろうとして問題が発生するのですが「保育園は人材が大切」と考えている保育園ではこのような流れがしっかり出来ており、実際にこのような実例を作ることで求職者にアピールしている保育園も増えてきています。更によい例を言えば、有給休暇の半分は毎月のシフト作成の段階で有給が取れるように最初から配慮している保育園も増えてきています。こういう保育園は退職率も少なければ、3か月前という規定を設けていてもちゃんとこの規定を守る保育士も多いのでとても働きやすい保育園と言えるでしょう。

 

つまりはこの3か月前退職意向のルールがよい意味でしっかり活用出来ている保育園は保育士にとっても働きやすい保育園の一つと言えるのです。

(筆者は保育士の転職先にこのようなことが実践出来ている保育園を案内する保育園の要因の一つにしています。)

 

 

◆退職時に贈り物は必要か??

・贈り物をいただいて嫌な気持ちをする人っていませんよね。なので気持ちよく退職をするにあたり贈り物を用意するのは間違ってはいませんが、義務ではありません。あくまでもあなたの気持ちです。もし何か贈るのであれば、休憩室で気軽に食べたり持ち帰ることが出来るようなお菓子などが無難でよいかもしれません。園長や主任にはあなたが個別で恩義を感じれば個別で用意をしてもよいかと思いますが、特になければ「皆さんでお召し上がりください」で園長に代表で渡せば十分です。でも同じ贈り物でも、保育園の近くで購入できるようなものやコンビニの物よりは、休みの日に出かけたついでにどこかで選んだものの方が、同じ気持ちや値段であっても相手へのよい意味で印象は変わります。

(1か月くらいあれば、出かける機会もありますし、お菓子であれば賞味期限も十分持つでしょう。)

 

 

 

 

◆保護者と連絡先を交換するのはOK?NG??

・保育園側からしたら当然「NG」です。意外と多くの園長、主任は個人の主観とて「退職後」であれば否定的ではないかもしれませんが、保育園という組織を預かる以上は「NG」ということがほとんどでしょう。ですが、保育園を退職した後に偶然、街で出会ったりした場合に連絡先を交換することまで制限することは出来ません。実際に保育士が退職後に卒園児たちの父母会が主催する食事会に参加をしたり、今度は同じ保護者という立場同士で連絡先を交換したりしていることって意外と多いです。その場合は以下のことを守ることが”プロの保育士”としての姿勢ではないでしょうか。

 

・正式に退職をするまでは、どんなことがあっても保育園の一員であり、連絡先を交換することは控える。

 

・退職をした後であっても、保育園内や職員、園児に関する情報は一切話さず、あくまでも個人と個人の付き合いとして関わっていく。

 

今は退職後も保育園で知りえた情報は一切外部に漏らさないという規定を結ぶ保育園が増えていますが、いずれも上記2つの条件を満たしていれば全く問題はないはずです。

 

 

 

◆この記事のまとめ

・今回の記事は筆者が保育系の人材会社で勤務する中で、実際に伺った事例をもとに解説しました。実際に現在勤務をしている保育園の規定とは違うということも多々あるかもしれませんが、1園2園ではなく100以上の保育園の情報をもとに解説したものですので、参考になることは多いと思います。今回の記事では個別に相談等も応じますので、メールやLINEなどからお気軽にご連絡ください。「立つ鳥後を濁さず」これはどこにいっても大切なことですが、一番は「退職することを迷うくらい日頃から働きやすい保育園」で働くこと。見つけることですよね。

 
保育の参考書:問い合わせ&質問・依頼フォーム

みなさまからのご連絡、心よりお待ちしております。

 

 

 


-保育業界のお役立ち情報, 保育現場に出る時に大事な話

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。