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保育士等キャリアアップ研修とは

2020/06/03


保育士等キャリアアップ研修という名前を最近よく耳にすることはありませんか??

保育士の待遇向上と専門性の強化に向けて保育士等キャリアアップ研修とそのガイドラインが平成29年の4月に厚生労働省で定められました。

新人保育士はまだ受けていないことも多く、あまり身近ではありませんが、近年の保育業界においてこの保育士キャリアアップ研修ってとても重要なポイント。

結論から言うと、自分たちの給料を上げる為に必要な研修と考えてください。

そして終盤でも記述しますが、このキャリアアップ研修を受けているかいないかで、2022年度以降にあなたの給料が最大で月額4万円変わることになります。

 

また、、、この制度で気を付けなければいけないのが現在の園長・主任であるということも保育士目線で書いていきます。

 

 

 

◆なぜこの制度を現場の保育士は知らないのか。

・保育士に関する補助金や制度について、最近では厚生労働省や東京都福祉保健局などのHPに周知文が掲載されています。実はこの内容が自治体を経由して保育園の本部や園長先生のもとに届いています。この内容を読めば正しく制度を理解できるのですが、現場の保育士までこの通達を共有していない保育園がほとんどです。ただ、どうしても原文のまま言われても理解するのが難しいというのも現状でもあります。

しかし・・・今から細かく解説していきますが、ここに掲載されている2つのPDFとQ&Aについて読み込めば全てを理解することが出来ますので、もしご興味があれば読んでみてください。今から記述することは全てこの2つの説明とQ&Aの内容をより分かりやすく説明した内容になります。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/kodomo/hoiku/careerup-kensyu.html

(保育士等キャリアアップ研修:東京都福祉保健局)

 

 

◆保育士の給料をあげる為のルール作りが目的

・近年の保育士不足により現在の保育士を取り巻く環境は多数の補助金により賃金の大幅な改善が実施されており、今回の保育士キャリアアップ研修もその取り組みの一つです。

http://hoiku-youchien.com/2019/01/17/kariage/

(こちらにも一部記載。:保育士借り上げ社宅に関する記事)

 

給料というのは、経験に応じて一定の昇給があるものですが、基本的には役職に就任することで基本給に役職手当を上乗せして大幅に上がるものです。保育園でも園長手当や主任手当によって一般保育士との差をつけている保育園が多いです。

(園長手当については50,000円~100,000万円付けていたり、基本給の8%などの規定をそれぞれ設けている)

 

しかし、近年はようやく東京を中心とした待機児童が多い地域や株式会社で『副主任』『リーダー』についてそれぞれの手当をつけるようになりましたが、地方や5年前は園長・主任以外は明確な役職による手当などが制定されていないというのが普通でした。

以下の表で確認するとわかりやすいですが、一般企業と比べると保育園では一般企業と比べると職員規模が小さい為、階級が細かく分かれていません。

 

 

今回の制度では、主任以下のポジションで明確な役割を設けることで『この赤字の階級層』の給料をアップさせようとすることが目的で、そのルール作りとして保育士キャリアアップ研修を設けたのです。

 

 

◆保育業界の給料と退職事情

・上述の「保育士の給料をあげる~」でも記載しましたが、一般的に保育業界では「園長」「主任」までが明確な役割を設けると共に園長手当、主任手当を活用し、この2つの職種から給料が大幅にアップする仕組みになっています。しかし、これでは役職保育士との格差が広がってしまい結果として保育業界では役職の離職率と比べると一般保育士の離職率の方が圧倒的に高いのです。その為、今回は表の赤文字の役職を国主導で新たに設けることで保育士の給料アップとともに役職の新設をすることで保育士のキャリアアップ構築を図ることになったのです。

またこの数年で「副主任」や「クラスリーダー」といった役職が新しく生まれた保育園が多くみられるのもこの保育士キャリアアップ研修が関係しているのです。

その為、保育士キャリアアップ研修に参加をしているのは、副主任やクラスリーダーではないでしょうか。上述に記載したように今回の給料アップの対象は園長・主任以外の為、参加をするのはこの階級の職員なのです。

 

 

◆明確にされた研修内容

・今回は国が主導で補助金を導入しているため、研修内容も国や各都道府県が主導で行っています。

 

この表の※3に記載してありますが、保育士キャリアアップ研修は1分野15時間以上と定められています。その為、今回は保育士キャリアアップ研修に参加する保育士は1日中研修に参加をしており2日に渡って

参加をしてるのはこの為なのです。また一般的に若手保育士は『1』or「2」を受けることが多いですが注目は7番の保育士キャリアアップ研修のマネジメント。これは副主任以外が受けても1項目と認められず、逆を言えば副主任はマネジメントが4項目に含まれていなければいけません。

そして・・・このマネジメント研修は受講開催がとても少なく、この研修を受ける機会がなかなか発生しないという問題も発生しています。

このマネジメント研修は保育業界において謎の部分が多いですが、主任ならびに園長において必要な知識や法令、心得なども学ぶことができ、現役の園長、主任も受ける価値のある研修になっています。

 

 

◆保育士キャリアパスと処遇改善Ⅱとの関連性

・この数年で保育園内でキャリアパス計画というものが新たに設けられたところも多くあると思います。実はこれも保育士キャリアアップ研修に関係しており、本来はこの保育士キャリアアップ研修は各保育園に定められた職員育成計画に基づいて進めなさいというルールがあります。そのルールが『保育士キャリアパス計画』です。

またこの保育士キャリアアップ研修を受けた場合の給料アップはどのように支給されるかという疑問ですが、これは保育士処遇改善費Ⅱの項目で支給されることになります。

この保育士キャリアパス計画保育士処遇改善費についてはまた別の項目で詳しく記載いたします。

そしてここからは以下の記事において、この保育参考書サイト独自の視点で他のサイトには載せていない衝撃の事実を記載いたします。

 

 

 

 

実は見切り発車だった!?キャリアアップと処遇改善費の穴!(独自の切り口)

では・・・”教えて保育の参考書”ならではの視点でバッサリ斬っていきます。全てはQ&Aでわかります。

 

上述の赤字部分に注目してください。「保育士処遇改善加算Ⅱは2022年」「保育士キャリアアップ研修は2021年」と記載。つまり、現時点では予算のみ保育園に支給され、本来関連づけるべき研修等の条件は無効化状態ということ。実は、私も当時主任保育士として法人内のこの制度構築に関わっていましたが、制度の枠組みと予算だけが決定されるもののこの研修要件とキャリアパス計画の詳細情報が全く入ってこなかったのです。その為、保育園の経営陣は何が何でも2017年にこの予算をもらうために必死でした。

 

しかし結果として蓋をあけてみたら上述の先延ばし。業界では「経過措置」という言葉で2021年までの猶予が設けられました。結果として制度構築に時間はもらえ、予算はしっかり支給されたという保育現場にとっては最高の結果となりましたが、、、どうみても今回の制度は見切り発車だったという裏話がQ&Aで明確にされました。

 

そして、この予算を取るため、改めに給与規定等を設ける為に、一部の社会福祉法人で見切り発車の状況で就業規則に独自のキャリアパスならびに給与規定を作った為、補助金の予算を超えて給与を支給することになったりした保育園もあったようです。また改めて記述しますが社会福祉法人は株式会社と違って就業規則に書かれていない給与の支給が出来ない、またその規定については定期的に行われている理事会で承認されないというルールがあったりで、新しい制度を導入するのはとても大変なのです。

(こういう保育業界の裏話って実際に働いていないとわからないですし、一般には情報が全く入ってきませんよね☆)

 

なので社会福祉法人も株式会社も、すでにキャリアパス計画が定められた所もあれば、現在慌てて作成している所もあるのです。

 

 

園長、主任はどうなるの!?研修受講証は個人名義(独自の切り口)

ここも”教えて保育の参考書”独自の切り口でいきます。

・この保育士キャリアアップ研修は、法人名義ではなく個人名義で修了書が発行されます。その為、受講者が転職した際には転職先でその効力が発揮することになります。裏を返せば、2021年までに法人側は職員に必要な研修を受けさせたとしても、退職されてしまうとその法人内で補助金の支給対象外になってしまうという問題が発生します。またこの研修は副主任・専門リーダーに就任させるための研修ですから法人側は『園長、主任には受講させない』という考えも多いでしょう。そうなると・・・現在は園長、主任として一定の役割と給料をもらっていますが、2021年以降に転職する時には「園長・主任以外は出来ない」ということになります。厳密には副主任、保育リーダーにはなれないので一般保育士での待遇になってしまうということです。

(これも裏技がある保育士処遇改善手当ⅰで調整も出来るのですが・・・やっぱり穴が発生しています。)

 

それとこれは東京23区の某自治体の見解ですが、もし2021年以降に法人内で副主任に該当する要件を満たしていない場合はこの副主任の補助金が全額カットになるそうです。そうなると副主任要件を満たす施設が3人だった場合は40,000円×12ヶ月×3人=144万円の補助金カット、、、となれば当然他の職員にも賞与での調整等のしわ寄せも。

 

その為、これからこの2年間は保育業界において積極的な保育士キャリアアップ研修がより活発化されていくことになるでしょう。そうなるとこの研修は丸2日必要な為、その間保育現場では保育士が抜けることにより現場の保育士不足や有休消化にも影響が出てしまうことも懸念事項です。

 

ただハッキリと言えるのは2021年までに副主任要件を満たすマネジメント+3項目の保育士キャリアアップ研修要件を満たしていればこの保育業界においてかなり優位な立場になれるということです。

 

 

◆この記事のまとめ

・今回は、”教えて保育の参考書”独時の切り口で記述しましたが、意外と知らないことが多かったと思います。そして私自身まだ、マネジメント研修しか受講していませんので、何が何でもこの2年間で残りの3項目を受講しなければと考えております。いつまでこの保育士キャリアアップ制度の予算が続くかはわからない所もこの制度の穴の一つではありますが、この制度は間違いなく保育現場に大きな結果をもたらしてくれた制度です。(やはり年間480,000円の処遇改善は大きいです)

 

また今回記事にも出てきた「保育士処遇改善手当」と「保育士キャリアパス計画」についても大きく関係しておりますので、この2つについても改めて今後記事を掲載していきたいと思います。

 

 

いかがでしたでしょうか。

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