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【平成31年版】住宅補助が82,000円!保育士の間で話題の借り上げ社宅制度について解説します!

2019/03/18


保育士不足による処遇改善対策の一環として行われている保育士を対象とした”保育士借り上げ社宅制度”。

当初は地方からの保育士・保育学生を都市部に呼ぶための制度ですが、現在は東京都内に住む保育士・保育学生も利用することが可能となり、一人暮らしを希望する保育士に最も身近な制度の一つになりました。

社宅というと社員寮のようなイメージで、職場の保育士と一緒の建物や隣同士で住むイメージもありますが、実際は保育士が希望するマンションを選択することで、自分の希望する条件で納得のいく住居を決められる保育園が多くなりました。しかしこれは日本全国の統一した制度ではなく誤解も多いため、詳しく解説していきます。

※この記事は平成31年の最新情報をもとに更新しました。

 

◆借り上げ社宅制度ができた背景(保育士の就業先選び)

・東京、神奈川を中心とした待機児童の増加による保育園の開園ラッシュで首都圏の保育士が足りなくなったことにより、平成25年に横浜市でこの制度が制定されました。正式には”保育士宿舎借り上げ支援事業”という名で実施されました。(以下、借り上げ社宅で記載。)

 保育士の給料は一般と比べて低賃金と言われていますが、実は”20代前半の年収に限れば”一般企業の平均年収とそれほど差はないのですが、保育園側は自宅から通うことを前提としていることから、家賃補助を設けている保育園はほとんどなく、あったとしても5,000円~10,000円。これでは流石に一人暮らしをするには経済的に厳しく、保育士は自宅から通える範囲でしか仕事を選べなかったのです。これでは都市部の保育士は一向に増えませんよね。保育士不足の地域に保育士を集める為には、”正社員として働きたくても、保育士が余っていることで求人自体が少なく契約社員やパートでしか働けない”地方の保育士・保育学生を都市部に上京してもらうことが唯一の解決方法だったのです。

 そしてこの時、ある運営の保育園が地方から多くの保育士を上京させることに成功していました。それは待機児童の解消にメドが立たなかったことで、2000年に行われた保育業界の制度改革により参入が認められた株式会社が運営する保育園でした。株式会社が運営する保育園では独自に制度を設けて地方から上京する保育士に限り、住宅手当を制定したり引っ越し費用を負担。大手の株式会社では”独自の社宅”を設置し、そこに無料で住まわせる形で採用を円滑に進めていたのです。

 この株式会社の成功モデルも影響して、市をあげて待機児童対策に力を入れた横浜市が国からの支援も取り付けて本格的に保育士むけの借り上げ社宅制度が進められたのです。

 

 

 

 

 

◆当初は浸透しなかった保育士借り上げ社宅制度の問題点

・借り上げ社宅制度は、当初なかなか浸透しませんでした。それには以下の理由がありました。

 

1、借り上げ社宅制度を利用しない保育士との間に不公平ではないかというトラブルを懸念。

2、新たに法人独自に制度を作るのが大変であり、財源がいつまで補償されるかわからなく不透明な制度だった。

3、横浜以外の地域に保育園を構えている法人は補助が出ない保育園との間に差が生まれるのと、就業規則を新たに定めるのが大変。

4、平成21年度以降に入社で入社して5年以内までしか支給対象にならない。(制度を受けれれない職員が発生する。)

 

 現場の保育士からすると、すぐに解決できそうな問題なのですが、実は「補助金」で運営する保育園として、経営側からするとこれはとても大きな課題であり、すぐに導入できる簡単な問題ではなかったのです。

 またこの制度で重要なことは、補助金の財源。全ての費用を国や自治体が出すのではなく、保育園を運営する法人側も費用を負担する必要があった為、あらかじめ予算を再編成する必要もあれば「2」のようにいきなり補助金が終了した場合、その費用は全て保育園側が保証しなければいけないという大きなリスクがあったのです。

(当時はまだ保育園への補助金も増額されておらず、82000円を全額法人側で負担となると、他の職員の賞与に影響が出る可能性もありました。)

 

 

 

 

◆ついに東京でも保育士借り上げ社宅制度の導入へ

・結果として、横浜で導入された保育士借り上げ社宅制度は成功を収めます。この横浜での成功は隣接する京都にも大きな影響が出ました。上京=東京に憧れをもつ地方在住の保育士が、東京より横浜を選ぶことが多くなり、そして・・・なんと東京に在住していた一人暮らしの保育士が横浜に移住し始めたのです。その結果、東京都は更に保育士不足が深刻化。そこで神奈川に隣接する大田区でも保育士借り上げ社宅制度が導入されることになったのです。

 大田区で導入が始まった保育士借り上げ社宅制度はその後、世田谷区・豊島区、、、そして23区のほぼ全域に広がっていくことになります。現在は東京都・神奈川県だけでなく、埼玉県・千葉県でも実施され、この制度は保育業界において定着した処遇改善策の一つになったのです。

 

 

◆保育士借り上げ社宅制度の更なる改善と男性保育士への影響

・現在は82,000円を上限とする自治体が多いですが、横浜は当時80,000円を上限に入社5年以内という規定があり、東京都でも上限70,000円。入社規定5年以内も多くありました。しかし小池都知事就任により、この保育士借り上げ社宅制度の不安点であった、入社5年以内の要件が撤廃されたことで、多くの自治体もこの制度を解除。その結果、社宅利用対象者が拡大され、入社後に社宅を退去しなければいけないという心配もなくなりました。千代田区に至っては家賃相場を考え上限が130,000円。北区などは北区以外でもOKとなり『保育所の構えている区でなければいけない』という規定も自治体により撤廃されました。

 この制度で最も大きな影響を与えたのが『東京都の保育士も一人暮らしが可能になったこと』です。これにより保育業界全般の処遇改善が実施されたことになります。また一人暮らしではなく、結婚している家庭でもこの制度を利用することが可能となったのです。(家計所得の割合等、条件あり。)

 この制度の改善は結婚を機に退職を検討する男性保育士の離職率低下にもつながりました。男性保育士の悩みに生涯賃金の低さという大きな問題がありました。条件があるとは言え、男性保育士にとってこの問題解決はとても大きな影響を与えました。地方在住の男性保育士はそもそもとして就業の受け入れ先がないという大きな悩みがあり、この問題は一向に解決されない地域が多くあります。それが上京という選択肢をすることで男性保育士の悩み問題を解決することにもつながったのです。

 またシングルマザーで家計を支える世帯主の女性保育士もこの制度を機に、仕事により集中できるようになったという声も聞かれるようになりました。

 

 

※お気軽にお問いあわせください。

 上述の給与モデルは平成31年現在、実際に保育士求人サイトに掲載されている東京都の社会福祉法人が運営する認可保育園の実際の金額です。この金額は決して誇張表現ではなく、東京の社会福祉法人が運営する認可保育園において、クラスリーダーであればこれぐらいの金額は相場になりつつあります。このサイトについては東京以外の地域から閲覧している方も多いので、地元の給与相場と比較すると驚かれる方も少なくないと思います。

(これも近年の保育業界における変革の一つです。)

 

「具体的にどこの法人ですか??」「同様の求人は多数ありますか??」など求人に関する問い合わせや転職等の相談については、このサイト上ではなく個別に対応いたします。
ご希望があれば下記問い合わせフォームよりお申し込みください。この件につきましては厚労省認可の保育士求人会社のアドバイザーより質問にお答えいたします。

就職・転職相談 お問い合わせフォーム

(筆者は一般保育士の為、紹介免許を所有しておりませんので、メールでの相談までの対応となり、実際の求人をご紹介するときは上述の厚労省認可のアドバイザー対応になりますことをご了承ください。)

 

 

保育士の年収は平均を超える数字に!?(公立園と私立園の逆転も)

 

 

・では、話を本題に戻します。下記年収をご覧ください。

 

・上述は大手求人会社DODAの平均年収表ですが、、、近年の”東京都”に限っていえば各種補助金を加えると、一般の想定年収を上回る計算になります。そして私立保育園の保育士の方が公立保育士の公務員の年収よりも20代は高い計算になります。

 もちろん、これは”補助金”である為、正確には”純粋な年収”という部分では平均を下回ることになりますが、現時点で”総支給額”という部分では大幅に保育士の処遇は改善されたことになります。ただ繰り返しになりますが、これは”補助金”であるため、保育士不足が解消された場合はこの補助金部分はいずれ廃止になる可能性もあるのが唯一の問題点と言えるかもしれません。

 

 

借り上げ社宅制度の注意点(お気軽に質問してください)

・法人(保育園)によって自己負担額が異なる!?

・上限は82,000円ですが、自己負担額は異なる場合があります。これは法人によって上限額を調整していたり、礼金についてもこの補助金で対応してくれる保育園もあるためです。一般的に本人の負担は0円のところが多数です。しかし、中には2〜5万円を自分で支払わなければならない場合もあります。(自己負担する場合は後で税金で優遇されたりするメリットもあります。)

また法人によってはこの制度を利用していない保育園や、利用していても他の姉妹園では実施していて、実際に働く保育園では実施していないという場合もあります。また自己負担額は増えますが、自分がどうしてもここに住みたいというマンションがあった場合、上限を超えて契約することがOKの保育園もありますし、逆に保育園側が指定するマンションでなければいけないということもあります。

 

・礼金はこの補助金で賄うことが可能だが、敷金と火災保険は自費が基本

・自治体の規定により異なりますが、上限82,000円の中で家賃だけでなく礼金も含めて構わないという規定もあります。基本82,000円は月額家賃ですが、その場合は礼金は自己負担となります。

(東京都北区では礼金を契約期間で分割して使用することが可能。つまり礼金1か月の物件であれば、家賃75,000円までに抑えれば残りの7,000円を礼金代に回せるので自分で礼金を負担しなくてよいということ。。)

 

 上述のように礼金はこの借り上げ社宅制度の補助金に含まれるので、自己負担0の可能性もあります。しかし規定上、敷金と火災保険は自己負担になります。しかし法人によっては保育士の負担を軽くするために色々なサポートをしてくれる保育園もあります。

 

・保育園だけでなく、自治体によっても条件が全然違うので注意

・千代田区が月額130,000円。板橋区は71,750円。北区は北区以外に住居を構えてもOK。園長先生は対象外。保育士借り上げ社宅制度を実施していない自治体。内容は各自治体によって異なります。またその年度によって制度内容が変わることもありますので、ご注意ください。

 

例1 世田谷区
現在、最も多くの方に間口を広げているのがこの世田谷区と言えるでしょう。支給の上限は82,000円ですが、一人暮らしの方はもちろん、シングルマザーや同棲中の方、更に家の名義が保育士さんであれば一緒に住む方の年収は何千万円あっても良いという規定となっています。
2017年からは世田谷区の保育園に勤めていれば区外に在住の方も適用となるので、受け入れ対象は更に広がります。
有名な駅としては『下北沢』『三軒茶屋』が挙げられます

 

例2 目黒区
目黒区はいち早く区外在住であっても借り上げ社宅制度の制度の対象としていました。さらに、区内に在住の方には92,000円までの支給を行なっております。⇒平成29年の情報では一律で82,000円となってしまったようです。。。
住みたい街ランキングの上位に来る東急東横線の「中目黒」駅もあります。

 

例3 杉並区
杉並区は支給額の上限が60,000円となっており、他の自治体と比べると低めの設定となっております。一見ケチにも見えますが、実はそうではなく家賃相場が他の自治体よりも20,000円程度安いことが理由です。⇒平成29年の情報では、82,000円に変更となっておりました。
また、物価も安いため日用品の購入などでの負担が少ないというメリットもあります。 なお、平成30年の新情報では要件付きですが、区内共通商品券5万円分を支給といった嬉しい情報も入ってきています。

 

・年度途中での退職は解約金の発生も!? タバコは・・・??

・上述のように礼金を保育士借り上げ社宅制度の補助金で支払っている場合は、年度途中で退職した場合は残りの礼金を自分で負担することになります。また敷金は基本自己負担ですが、部屋の損傷が激しい場合は敷金を超えて更に自己負担が増える可能性があります。(これは一般的なことなので特別ではありません。)その為、タバコは注意。壁紙交換となれば10万超は確実。多くの保育園で喫煙はNGと最初から保育園規定で書かれている所も少なくありません。

 

・借り上げ社宅には税金が発生。非利用者との間にわずかな格差が出ることも。

・基本的に借り上げ社宅制度は、保育園名義で契約をする為、家賃は保育園が負担します。その為、保育士には直接1円も支払われませんが、この補助金額は全額「給与所得」扱いになります。わかりやすく言えば、直接家賃補助をもらってはいないけれど、年収の金額に加算されてしまうということです。税金は収入にあわせて支払う金額が決まるため、当然支払う税金も高くなります。これは国の決まりで決まっているので仕方がありません。しかし家賃補助の金額に対しての税金ですので、実際には家賃補助をもらった方が断然お得です。ただ、無理に一人暮らしする必要がなかったり、迷っている人は自宅から通った方が実際の生活費は多くなるので検討が必要です。

 またこの制度を利用することで利用者の待遇を下げてはいけないという規定があります。ようするにこの補助金があるから、その分給与を下げてしまうというようなことは禁止ということです。しかし、保育園側は平等性を保つために、上述の想定票にある「東京都キャリアアップ補助金」や「処遇改善ⅰ」といった補助金で非利用者と差をつけることもあります。

(社宅利用者=補助金年間で+500,000円。非利用者は+600,000円など。)

 

 他にも保育園から近くに住んでいることから、震災などの災害時には優先的に保育園に残留。雪や台風などの交通機関のマヒが予測される時には早番を交代。年末保育の実施がある場合は優先的に出勤するなどといった保育園独自の規定を設けていることもあるので、必ず契約時に確認しましょう。

 

 

 

 

 

 

◆保育士借り上げ社宅制度のまとめ

・今回は『どこよりも詳しく、保育現場目線で保育士向けの記事』を意識して作成しました。その為、文章がとても長くなってしまいました。実は筆者もこの借り上げ社宅制度を利用している保育士で、何よりこの社宅制度の保育園規定を作成した経験があります。その為、この制度のメリットや問題点を重々承知しているつもりです。また、規定が基本的に保育園側に任せられている為、トラブルも少なくありません。その為、大切なのは借り上げ社宅を利用する場合は、契約書を繰り返し読み込み、納得のいくまで質問をすることです。場合によっては保護者に一緒に見てもらっても構いません。

 これだけ長くの記事を書いても、まだ足りない部分も正直あります。(社宅に関するトラブルなど)その為、もし気になることや聞いてみたいことがあれば、お気軽にご相談ください。また中盤で今回は具体的な求人に関する記載もありました。これは上述にも記載しましたが、実際に東京都内で掲載中の求人情報であり、決して特出して高いわけではありません。地方在住の保育士。保育学生さんは少々驚くかもしれませんが、それだけ東京都や神奈川県の待機児童と保育士不足は深刻になっており、その分上京しやすい状況になっています。

 今の自分の中で精一杯の記事を書いてみましたが、もし今回の記事で気になることがあれば、本当にお気軽にメッセージをいただければと思います。

 

 

 

 

 
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