男性保育士が現場で気をつけている事
2020/06/03
今回は、現役保育士ライターの小林まるさんを中心とした、実際に東京都内の認可保育園で働く4名の男性保育士の注目記事です。
インターネットで“男性保育士”と検索すると・・・
「男性保育士 悩み」「男性保育士 問題」 「男性保育士 ロリコン」 「男性保育士 事件」といったネガティブなキーワードが出てきますが、では実際に男性保育士たちは現場でどのような配慮をしているのでしょうか。
男性保育士が抱える問題や悩みなどもあわせて、それらに対する前向きでプロ意識を持った彼らの考えを記載しています。
※写真は筆者ではなくイメージ画像です。
◆男性保育士は男女平等と考えるべきではない
・以前は“男女平等”の考え方が多く、保育士だって男性・女性どちらもいた方がよいという考えが広まると共に、男性保育士も女性と同じように扱ってほしいという想いもありました。実際に平成11年に「保育士」という名称に変更になり、保父・保母という名前も廃止。そして平成15年度の国家資格化に伴い、名称独占されたことで「保育士」が正式な名前になりました。しかし男性と女性の間にはどうしても、それぞれの特性が異なり、実際に性的な犯罪も起きているのは事実である以上は、制度の上では男女共に同じであっても、男性保育士は保育士として働く以上は、自分たちが女性保育士とは別にどのように働いていかなければいけないのかと考える必要があると実際に多くの男性保育士が考えています。
◆男性保育士の悩みと問題点
・前述のように、男性保育士の不祥事に関する事件が報道されてしまうことは、一生懸命働いている男性保育士の悩みの一つであり、男性保育士が潜在的に抱える問題の一つです。
男性保育士が問題とされているのは、保護者からみると女児に対する変な意識はないか。職場の女性保育士からすると、女性社会の中で輪を乱さずに寄り添ってやっていけるのかという心配等があります。
これらの男性保育士問題については後述のように、自分たちの置かれている立場を理解しつつ、一つひとつ乗り越えられるように努力していくことが必要とされています。
また男性保育士の悩みは女性と共通するものとは別に抱える問題も多く、給与面や加齢による将来等で多くの悩みを抱えています。
しかし近年は東京を中心に男性保育士の割合も以前より増加しており、これらの問題や悩みについては男性保育士間だけでなく世間全体で認知されつつあり、少しずつ様々な答えが導きださせるようになってきました。
では、実際に保育現場で働く男性保育士たちはどのようにこれらの問題や悩みを解決しようと努力しているのか。それを今回具体的にこの記事でまとめてみました。
◆男性保育士のマイナス面をしっかり自覚する
・どうしても“細かい気付き”という部分では女性の方が優れていることが多く、身体的な部分においても、手先の器用さを含めた細かい作業等色々ありますが、どうしても生まれ持った特性については埋められないものがあります。また男性脳や女性脳といった考え方や、今まで育ってきた環境が違うのですから、どうしても埋められない壁という悩みはあります。そういった部分については素直に女性の方が優れていることを素直に認め、男性としてどうしても足りない部分については“意識”をした上で、常に保育にあたっています。無理に同等と考えず、苦手な所は素直に女性に頼りつつ、苦手なりにどのように“努力”すればよいかという考え方は絶対に持たないといけません。
また実際に男性保育士が起こした事件も発生しており、世間の目は自分たちが思っている以上に好意的ではないという覚悟も持っています。一見悲しいことに感じるかもしれませんが、この考え方が自分たちを守ることに繋がっているのです。
◆男性保育士が日頃から意識していること
・上述と重なる部分もありますが・・・
1、少しでも疑われるような言動は日頃から絶対にしない。
(口は災いのもと。余計なことは言わない)
2、女性の保護者とは必ず一線ではなく二線おく。
(プライベートなことには立ちいらない)
3、女性の保護者や女性保育士には基本的に目を見て話す。
(胸や膝元に視線があたっているという誤解を招かない)
4、女性保育士が側にいない状況でオムツ替えやトイレ介助は原則しない。女児と密室状態で2人っきりにはならないように、自分たちから職場の仲間に声をかけていく。
(常に不適切な行動が起きていない事を証明できる環境を作っておく。)
5、保育園は組織で動いていることを意識して行動していく。
(女性社会だからこそ、女性目線での考え方も意識しながら一緒に勤務する。)
このようなことを男性保育士は意識して保育園で働いています。一見考えすぎと思ったり、それでは窮屈ではないかという方もいるかもしれませんが、男性保育士として働く以上はこれくらいの覚悟と自覚を持つ事が“プロの保育士”であると考えています。
◆男性保育士だからこそ求められる役割
男性保育士にとって、性別はマイナスばかりではありません。実際に保護者や同僚からの意見として・・・
1、職場の風通しや雰囲気がよくなる。
2、男の子や父親の気持ちは同じ男性だからこそ理解できるものがある。
3、サッカー経験者であることを活かして子どもにボールや運動への親しみを教えてくれたことで、運動への興味関心が高まるだけでなく、実際に運動能力の向上につながった。子どもたちの“やりたいという意欲“や目に見える成長を間近に感じられるというのは保護者にとって保育園に預けていて一番嬉しいと感じる瞬間。
4、大地震の日、夜中まで預かってもらってもらった時に男性保育士が保育園に居てくれたことはとても心強かった。不審者等の対応を含めていざという時に男性保育士が居てくれると思うだけで安心感がある。
5、運動会ではテント張りや大道具準備などで、意外と保育の仕事は重労働なので、そこで男性保育士の協力があるととても助かる。高所での作業などでも頼りにしたい。
6、女性ばかりの職場だからこそ、時には男性的な理論・理知的な意見や大胆な発想も保育所運営には必要かつプラスに働くことが多い。
実際に男性保育士は上述のことを思われており、決して男性だからといってマイナスなことばかりではなく男性保育士だからこそ感じる働き甲斐も沢山あるのです。
◆実際にあった事件を振り返る(男性保育士に落ち度は⁉)
東京都内の保育園で男性保育士が逮捕されたという事件がありました。事件の概要は以下の通り。
・勤務先の保育園で女児の下半身をなめまわしたなどとして、強制わいせつ容疑で、男性保育士、を逮捕。逮捕容疑は認可保育園内のトイレで、5歳女児の下半身をなめるなどのわいせつな行為をしたとしている。犯行当時はトイレで女児の下着の着替えを手伝っており、帰宅後に女児が父親に相談して発覚。「女児が以前けがをした部分が気になって触っただけで、なめてはいない」と容疑を否認している。
男性保育士は今年4月に採用され、女児のクラスの担任だった。犯行当時はトイレで女児の下着の着替えを手伝っており、帰宅後に女児が父親に相談して発覚した。
結果としてこの事件は不起訴処分になりましたが、真相はわかりませんでした。しかしこの事件では、仮に誤解であったとしても男性保育士にはいくつか落ち度が多数ありました。
問題点1 トイレで着替えを手伝っていた
→なぜ、密室で着替えをしていたのか。着替えならばカーテンを閉めて室内で実施。もしお漏らしということで、密室状態でトイレに行くのであれば、対応を女性職員に代わってもらうべきだった。
問題点2 女児が以前けがをした部分を思い出して、気になって触っただけ
→なぜこの場面で触ってしまった。もし気になったのであれば、他の保育士も一緒に症状を観察するべきで、密室で男性保育士が行うことではない。
問題点3 女児が父親に相談して被害届を提出。その後も保護者が被害届を取り下げない
→この女児は父親にどのように伝えたのだろうか。子どもの言い分をそのまま鵜呑みにして保育園側に相談ではなく、直接警察に連絡ということは、担任として日頃から保護者に信頼される行動をとっていたのか。『舐めまわす』という表現は異常。この場ではしていなくても、日頃の保育で似たような行動はしていなかったか。
客観的にみても同じ男性保育士という立場では大変危険なことが多くありました。こういう場合、一番身を守る方法は日頃からの保護者からの信頼と仲間が守ってくれること。日々の保育から自覚を持って保育をしていれば、同僚を含めて保育園全体が『彼はそんなことをするような保育士ではない』と自信を持って否定してくれます。その際に、男性保育士自身の配慮だけでなく、保育園としての対応についてもあわせて説明することが出来るからです。このように男性保育士は常に自覚を持ってこのような問題が起きた時には、自分たちの身を守るために行動しているのです。
◆この記事のまとめ
・現在男性保育士の割合は、全体の4%超程度と言われています。平成7年の総務省の調査では0.82%だったことを考えると、男性保育士はこの20年で5倍以上になりました。実際に東京都内に限ればこの割合はもっと高く、共学の保育士養成校では男子学生は4割近くという学校も複数あるくらいです。実際に都市部の保育士不足が"この程度"で済んでいるのは男性保育士の増加のおかげであり好意的な反応も増えました。しかし世間の評価は決して全員が歓迎ではありません。だからこそ男性保育士には、上述の現役保育士たちのように、それぞれがプロとしての自覚をもってこの業界で輝き続けていきたいと思っています。
いかがでしたでしょうか。
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