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ホリエモンの発言で火がついた「保育士の給与が低い」件について


ライブドア騒動で有名になった”ホリエモン”こと実業家の堀江貴文さん。「保育士は誰でもできる」という発言で波紋を呼んでいます。事の発端は2017年10月12日に掲載された「『なんで保育士の給料は低いと思う?』低賃金で負の循環」という記事。その記事に噛みつく形で先述の「保育士は誰でもできる」発言をtwitterで呟きました。

「保育士を馬鹿にしている」「じゃあ1ヶ月でも保育士をやってみろ」といった批判的なコメントもありましたが、同調する意見もありました。その中で「保育業界の給与水準が低いのをアピールしてくれてありがとう」といったポジティブな意見もありました。

今回はそういった討論は置いておいて、「本当に保育士の給与は低いのか」「保育士の給与が低いままではダメ」「ホリエモンが言った壁面や保育のIT化が遅れている」件について主にお話ししていきます。

保育士の初任給は決して低くない!?

一般業界の大卒給与が平均約20万円、短大・専門卒で約18万円と言われています。この数字は主に額面となっている為、実際の手取り額はそれぞれ3万円程度引いた額になります。そこで今年度の保育業界の求人に目を向けてみると、短大卒の初任給で200,000円を超えている高月給案件を複数見つけることができます。さらに保育士不足が加速している首都圏では、『借り上げ社宅制度』という月額82,000円の住宅補助を受けることができる公的なサービスがあり、これを含めると月額280,000円程度の給与+賞与が支給されるため、年収で400万円を超える計算となります。地方の給与水準はまだまだ低く、保育業界全体の平均給与額を大きく下げる一つの理由となっておりますが、本当に稼ぎたければ給与水準の高い仕事が溢れている首都圏に上京できる環境が整っています。

昇給の幅が少ないのが保育業界

その反面、経験年数を重ねても思うように給与が上がっていかないのも事実です。30代中盤くらいになると一般業界では平均で年収500万円を超えてきますが、保育業界では初任給から上がっても50~60万円であり、先述の『借り上げ社宅制度』が5年間でリミットを迎えてしまい補助がなくなる為、家計を支えるのは困難となります。また、保育園は朝から夜遅くまで開所しており、保育士の方々はその中で基本的にシフト対応。自身の子育てがおろそかになってしまうというリスクもあります。そうした中で、生涯保育の仕事を続けることが困難となってしまっております。

保育士が足りないんだから給与は大幅に上げなければいけない

で、私自身の持論。結論から言うと保育士の給与は月額で10万円程度のアップを補助金で賄わなければいけないと思います。これは同じく低待遇による人不足で話題に挙がる介護業界も同じ。なぜなら、うちの福祉業界は現状で人がいないと成り立たず、そのサービスが受けられない人がいると困る方が続出するから。アンケートを取ると月数万円程度の昇給では、ほとんどの方がこの業界に戻ってきたいとは言いません。大幅に給与を上げることでそういった方々の気持ちを変えつつ、新たにこの業界を目指すきっかけを作っていく必要があるのではないでしょうか。

壁面の必要性や保育のIT化について

ホリエモンさんが職場環境について、「当たり前のこれまでをなんら改善しようとしないからダメなんだよ。例えば壁の装飾とか本当に必要?とかね。IT化も遅れてるしな」と言っていました。この部分については個人的には同意です。

まず、壁の装飾(いわゆる壁面)については、手作りであるに越したことはないとは思います。ただ、ほとんどの保育士にとって現在の仕事量は既定の時間内にさばききれない状態となっております。では、どうしたらいいか?削れるところを削るしかないんです。午睡時の呼吸チェックなどを始めとした通常の保育と、壁面の作成や凝った行事の準備。どちらが重要かを考えると当然前者だと思います。減らせるところは減らす。そういった方向で進んでいかなければいけないのです。

また、保育業界のIT化。パソコンスキルに自信がない保育士の方は毛嫌いされることも多いのですが、元々は仕事量を減らすことを目的としているものです。例えば連絡帳。手書きの場合は同じ伝達事項であってもクラスの人数分書かなければいけませんが、デジタル機器を使えば一度入力すればコピーして貼り付けで使いまわすことができます。園児の登降園の時間管理や職員の勤怠チェック、シフト作成なども自動でできるサービスもある為、導入すると大幅に業務を削減することができます。


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