
保育士にオススメの絵本「それいけ!アンパンマン」
2017/08/14
保育士・保育学生のみなさん、40年前に絵本で出たばかり頃のアンパンマンって知ってますか?
意外なことに「しんぱいしなくていい。ひもじいひとのみかたアンパンマンのかおはとびきりおいしいのだ。」
なんて自分で言っちゃたりするキャラなんです。
今回はそんな昔のアンパンマンについて語らせていただきたいと思います。
初版は42年前の1975年
1975年11月、出版社のフレーベル館から「それいけ!アンパンマン」の初版が発刊されました。
著者はやなせ・たかしさん。アニメ版の主題歌「アンパンマンのマーチ」の歌詞も書いています。
とても有名な曲なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
口調・性格が現在とまったく違う!?
表紙の顔立ちも今と少し違いますが、それ以上に口調・性格が全く違います。
冒頭の「しんぱいしなくていい。」とか自分の顔を「とびきりおいしいのだ」といったセリフは、現在のアンパンマンの姿からは少し想像がつきません。
まさに「花より男子」でいえば道明寺司。自信に満ち溢れている超強気の俺様キャラです。
好きなシーン・エピソード
顔のあげ方
「さあ、ぼくのかおをたべなさい」
なんと、そう言いながら40年前のアンパンマンは腰を落として首を曲げ、顔をそのまま差し出すのです。現在のように一部を取り分けてあげる形式ではないのです。
子ザルは限界までお腹が減っているものの、「え?かおをたべるんですか」と確認します。本当に正しい反応だと思います。
それに対し、「しんぱいしなくていい。ひもじいひとのみかたアンパンマンのかおはとびきりおいしいのだ。」と返すのです。
そこじゃない。おいしいかどうかが問題なのではない。ひとの顔にそのままかじりついて良いかどうかを子ザルは聞いているのだ。そう心の中でツッこんだ読者はきっと私だけじゃないはずです。
アンパンマン落下事件
「おなかがいっぱいになったらぼくのせなかにのりなさい。きみのうちまでおくってあげるよ」
アンパンマンのこのセリフに対し、子ザルはなんと「だいじょうぶかなあ」とつぶやきます。
するとアンマンマンは「だいじょうぶだ」と強く言い放ち、「それいけ!アンパンマン」と子ザルを乗せて飛び立ちます。
しかし、つい先ほど子ザルに顔を食べさせてあげていたアンパンマンは飛び出したとたんにぐらりと傾きます。
「きゃっ!おっこちる!」と子ザルの悲鳴。
幸いなことに、落ちたところは柔らかい草の上。
そして、ふんわりと着地したアンパンマンが言った言葉。
「どうだ、アンパンマンはうまいだろう」
衝撃です。読み進めていけば進めていくほど、現在とのギャップに驚かされます。
それでもやっぱりアンパンマン
その後、いくつかの展開があって最後のシーンはジャムおじさんのパン工房。
ジャムおじさんが「アンパンマン、はい、かおのしゅうりはおわったよ」と言います。
「しゅうり」という単語に驚きを隠しきれませんでしたが、もう少し休んでいくよう促された際にアンパンマンは「せかいじゅうでおなかのすいたこどもたちが、ぼくのくるのをまっています」と言い切ってすぐに出発するのです。
やっぱりさすがアンパンマン。根本的な優しさは、今も昔も変わりません。
以上となります。個人的には、今の方が好きかなって感じですが、読んでみると絶対に誰かに内容を話したくなると思います。
今のアンパンマンを知ってる人にこそオススメの一冊です。