保育業界の地域による待遇の違い
2016/08/13
『常勤保育士の給与が手取り10万円!?』
少し前にこんなニュースがテレビやスマホの画面に躍り出ていました。
ですが、その反面、初任給で額面で22万円、手取り19万円以上の法人や株式会社もあります。
今回は地域格差を中心に、この不思議について解決していきます。
お給料が決まる仕組み
これにはたくさんの要因がありますが、一番大きなところは、その地域や職種における『求人(仕事)の数』と『求職者の数』の割合です。
首都圏の場合
例えば、東京23区は待機児童対策として毎年過去にないペースで新規開園が続いている事もあり、限られた数の保育士をその何倍もの数の法人で取り合っている状況です。
当然、お仕事を選ぶ際は法人の理念や保育目標が最優先となりますが、やっぱりお給料も大事。
特に入ったばかりの頃は、月給が1万円違うだけで生活が大きく変わります。
こうした背景があり、安い給与では十分な保育を実施していく為の保育士・幼稚園教諭の数が確保できないため、東京ではお給料がどんどんつり上がっているのです。
特に江東区の豊洲・有明地区(すぐそばにフジテレビで有名なお台場もあります)については、続々と新しいマンションが立ち並び、子どもの数が増え続けています。
しかし、交通が不便なこともあり、職員が非常に集まりづらいため、保育士の待遇が急上昇しています。
このエリアは家賃も高いですが、江東区については借り上げ社宅制度を82,000円支給していますので、無料か少しお金を払うだけで住むことが出来ます。
地方圏の場合
ご存知の方も多いと思いますが、いま日本は少子化が進んでおります。特に地方では若い世代がどんどん都心に上京してしまうため、自治体消滅の可能性もささやかれています。
そうなると、保育園や幼稚園に園児が集まらなくなります
そして園児が集まらなくなると、必要な先生の数がどんどん少なくなります。
こうなってしまうと、地域全体の求人数が減り、働きたい方の方が多くなるため、どうしても地元で働きたい方はいくら給与が低くても通える範囲の園で働かざるを得なくなります。
また、首都圏はほとんどの求人が正社員スタートですが、地方ではまだまだ契約社員から始まる園もたくさん残っています。
この理由としては、主に下記の2つがあげられます。
契約社員でも求人に応募が来る
ただ、最近では『青森』や『新潟』などで、反対に保育・幼稚園の正社員の求人募集が増えてきています。
とても不思議な現象ですが、その地域の保育士養成校の就職課の先生方にお聞きしたところ、上京する学生が増えて県内志望の学生が減ったことで、求人への契約社員への応募が減り、正社員にせざるを得なくなったのではないかとの事でした。
元々、保育系の学生さんは地元志向が強い傾向があります。
ですが、『青森』や『新潟』に正社員の求人が増えたのは顔も知らない先輩たち(…中には知っている方もいると思いますが)が勇気を出してチャレンジしてくれたから。
個人的には【上京する学生が増える】 → 【地方に人が少なくなり正社員の求人が増える】 → 【東京で経験を積んできた職員が戻りたかった地元でその枠に入る】 といったサイクルが完成する日が来たら…って思っています。